抄録
【目的】Aspergillus は主要病原性真菌であり、aspergillosis 患者においてはリムルス G 因子陽性になることが知られている。我々はこれまでに Aspergillus を完全合成培地で培養し、上清からリムルス G 因子反応性可溶性多糖画分 ASWS を得ることができた。また、ヒト血清中に β-glucan (BG) に対する抗体が普遍的に存在することを報告した。本発表では、抗 ASWS 抗体価の比較及び侵襲性 Aspergillus 感染症患者の抗 ASWS 抗体力価の変動について検討したので報告する。
【方法と結果】Aspergillus fumigatus を C-limiting medium で 4 日間培養し、上清から ASWSを調整した。抗 ASWS 抗体価は ASWS を固相化した ELISA 法により測定した。健常人血清、グロブリン製剤中の抗 ASWS 抗体を検討したところ、抗 ASWS 抗体の存在が確認され、力価には個体差が存在した。侵襲性 Aspergillus 感染症患者血清中抗 ASWS 抗体は経過観察中に著しく変動し、重症時には低下した。
【考察】本抗体は侵襲性 Aspergillus 感染症患者血清中において、臨床経過と連動して変化したことから、病態に関する臨床上の早期診断の指標の一つになり得る可能性があり、今後、さらなる検討が期待される。