抄録
成人のアトピー性皮膚炎(AD)患者の皮膚には、Malassezia globosa (M.g )、M. restricta (M.r ) が高頻度に常在し、血清中に特異的 IgE 抗体が高率に認められる。また Cryptococcus diffluens (C.d ) と C. liquefaciens (C.l ) も AD 患者の皮膚にそれぞれ 97%、86% と常在することを我々は報告した。この度は、AD 患者における C.d と C.l の関与について特異的 IgE 抗体を測定し検討した。「方法」YOSHIDA らの方法に準じて、菌体破砕抗原を固相化した ELISA を作製した。AD 患者血清中の C.d と C.l および対照として M.g と M.r 特異的 IgE 抗体を測定し、その陽性率を比較した。また 3 名の患者血清を使用して、4 菌種間での阻止試験を実施した。「結果」成人 AD 患者 122 名中特異的 IgE 抗体の陽性率は、C.d:35.2%、C.l:39.3% であり、対照は M.g:70.5%、M.r:76.2% であった。相関性は C.d と C.l 間で r=0.96、M.g と M.r 間で r=0.65、と同属内で認められた。しかし、M.g とは C.d:r=0.76、C.l:r=0.81 と認められたが、M.r と C.d:r=0.28、C.l:r=0.32 間にはなかった。阻止試験では、C.d と C.l 間ではそれぞれに抑制された。C.d、C.l と M.g、M.r 間では 1 名のみ弱い抑制が認められたが、ほかの患者血清はなかった。「まとめ」C.d と C.l 特異的 IgE 抗体陽性率は M.g と M.r より低い結果であった。その抗原性は M.g、M.r とは弱い交差反応性は認められたが、独立した抗原と考えられた。さらに病態と関連した検討が望まれる。