日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第50回 日本医真菌学会総会
セッションID: P113(SVI-4)
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ポスター(括弧内番号はセレクテッド・シンポジウム発表を示す)
神奈川の一総合病院における白癬の菌相調査―形態学的性状に基づく同定法と分子生物学的同定法を比較して―
*内田 隆夫槇村 浩一安部 茂飯島 正文
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抄録
[目的]白癬の培養陽性率は必ずしも高くはない。また、菌株によっては典型的な表現形に基づいた手法では同定不能の菌株も少なくなく、正確な疫学調査のためには病巣からの直接の菌種同定法が望まれていた。そこでPCRを用いて臨床検体から直接糸状菌DNAを検出し、nested PCRにより菌種の同定を試みた。[材料・方法]今回我々は平成17年5月16日から同年8月17日までに川崎社会保険病院を受診した患者の臨床検体(初診、真菌鏡検査にて菌糸が確認されたもの)を試料として従来の形態学的同定法とPCR法の両方を行った。また、培養された検体を試料としたPCR法も行い、それぞれの陽性率、同定された菌相を比較し、それぞれの同定法の有用性を検討した。[結果]134人の206検体(皮膚126、爪80)について培養陽性率は57%(皮膚71%、爪34%)であった。皮膚のうち分けは Trichophyton rubrum 42検体、T. mentagrophytes 40検体、同定不能6検体、発育不良3検体(T. rubrumT. mentagrophytes の合併例1検体を含む)であった。爪のうち分けは T. rubrum 23検体、T. mentagrophytes 2検体、Candida albicans 1検体、同定不能1検体であった。培養された検体を試料としたPCR法とは38/117検体で形態学的同定法と不一致であった。臨床検体を試料としたPCR法についても発表する。[会員外共同研究者:ヤマト科学株式会社 石原克人]
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© 2006 日本医真菌学会
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