仙台市を中心とした宮城県下にTrichophyton tonsuransによる白癬の発生をみるようになって既に5年半が経過した。当初は柔道やレスリングの強豪校と目される高校や柔道専門学校の生徒を中心に集団発生をみ、その後大学柔道部員にも拡大した。しかし本症に対する啓蒙活動によって、その後これらの高校や大学では集団発生はみられなくなり、散発的な発症例も速やかに受診する体制が出来上がっている。他方、その後はむしろ、これらの競技の強豪校ではない一般の高校の柔道部員やレスリング部員、市民の格闘技クラブ員などに発生が認められ、最近ではさらに市内の柔道道場に通う小中学生にも発生がみられるようになった。これらの学校や道場では本菌感染症に対する認識度が低い為に、発症しても放置されて、罹患者を増やし、症状を悪化させている傾向が認められる。自験例を中心にこれらの状況を報告して、参考に供したい。