【はじめに】皮膚常在真菌であるMalasseziaは、癜風、マラセチア毛包炎、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎などの病態に関与するが、その鱗屑中の存在形態は異なる。すなわち癜風は菌糸形を呈するのに対して、その他の疾患は酵母形を呈する。本研究では、in vitroでの菌糸誘導条件を確立し、Megasort®を用いてMalasseziaの菌糸特異遺伝子の検出を試みた。【材料および方法】In vitro菌糸誘導:各種アミノ酸、脂質等の組み合わせにより効率的な菌糸誘導条件を検討した。菌糸特異遺伝子検出:in vitroで誘導された菌糸形および酵母形からcDNAを合成し、約30万のMegacloneビーズを作製した。競合ハイブリダイゼーション後、セルソータにより菌糸形で発現量の高いビーズを採取しシーケンスを行った。【結果および考察】菌糸誘導:in vitro培養系にリン酸アンモニウムおよびグリシンを添加するとM. globosaが最も効率的に菌糸形を呈した。これは癜風の起因菌がM. globosaであるとする報告と一致する。菌糸特異遺伝子検出:30万のビーズからセルソーターで7800を採取しシーケンス・クラスタリング後、ホモロジー解析を行った。現在、抽出された32の遺伝子について機能解析を行っている。