日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第51回 日本医真菌学会総会
セッションID: P-86
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IV. 皮膚真菌症
外用抗真菌薬ルリコナゾールのMalassezia restricta臨床分離株に対する抗真菌活性
*南條 育子古賀 裕康槇村 浩一坪井 良治
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抄録
【目的】Malassezia restrictaは脂漏性皮膚炎患者から優位に検出されることから,本疾患の原因に大きく関ると考えられている.本研究では,外用抗真菌薬ルリコナゾール(LLCZ)のM. restrictaに対するin vitro抗真菌活性を調べ,本薬の脂漏性皮膚炎に対する適応の可能性を検討した.尚、本菌種は脂質要求性で脂質添加培地を要するため,添加脂質による薬剤不活化の影響の低い培地を選択して試験を行った.【方法】M. restricta臨床分離株(10株)およびM. pachydermatis保存株(1株)を用いた.薬剤はLLCZおよびケトコナゾール(KCZ)を使用し,それらの最小発育阻止濃度(MIC)を寒天平板希釈法で測定した.【結果および考察】(1)試験培地:非脂質要求性であるM. pachydermatisを用いて検討した.Yeast Malt寒天培地にolive oil (10%)を添加あるいは非添加の条件で薬剤の活性を比較したところ,いずれの薬剤においても脂質添加による不活化がみられ,影響はLLCZで強かった.そこで脂質組成の異なる各種培地を比較し,影響の低いLeeming and Notman Agar改変培地(milk非添加)を選択した.(2)抗真菌活性:LLCZの M. restricta(10株)に対するMIC90は,0.008μg/mL(範囲:0.004-0.016μg/mL)であった.その活性は現在脂漏性皮膚炎に適応されているKCZの活性(MIC90:0.016μg/mL, 範囲:0.008-0.016μg/mL)とほぼ同等と考えられ,LLCZの脂漏性皮膚炎に対する治療効果が期待された.
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© 2007 日本医真菌学会
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