【目的】膠原病患者の大量ステロイド薬、免疫抑制薬による治療に際して深在性真菌症を合併することがある。膠原病患者の治療に伴いアムホテリシンシB(AMPH)含嗽液の真菌症合併の予防効果について検討した【方法】2002年から2006年までの5年間に北里大学病院内科病棟に入院加療した膠原病患者の治療経過中に血中 β‐Dグルカン(BDG)が上昇した症例について深在性真菌症の合併の有無を検索精査し、AMPH含嗽液(ファンギゾンシロップ0.01%液)による真菌症予防効果について解析した【結果】5年間で延べ1,576例中35例に血中BDG陽性(初期値:平均95.6 ng/ml)を認め、15例はニューモシスチス肺炎と診断された。残る20例(SLE6、血管炎7、筋炎6、その他3例、重複あり)は何れも真菌感染の確定診断または疑い症例であったが、このうち実際に抗真菌薬を投与した症例は13例(BDG平均143.0 ng/ml)で、その内訳はカンジダ症4例、アスペルギルス症1例、残る8例はempiricに抗真菌薬(フルコナゾール6、ミカファンギン1、イトラコナゾール1例)の投与を行い、死亡1例を除き改善した。抗真菌薬を投与した13例中6例は、AMPH含嗽液による予防を行っていた。【結論】AMPH含嗽液は易感染性患者に対する感染予防を目的に広く用いられているが、口腔カンジダ感染を除くカンジダ感染の予防効果に乏しく、消化管への直接的作用とともに血中吸収性を合わせもつ抗真菌薬の有用性の検討が必要である。