抄録
「目的」:足白癬および爪白癬に対して植物精油単独または抗真菌薬との併用による足浴での治療が可能かどうかを検証する。「方法」:足浴は42°C,25分間行う。薬剤は足白癬に対しては、0.8%パルマローザ単独群(薬剤A),0.8%パルマローザ+0.04%塩酸テルビナフィン併用群(薬剤B)、0.04%塩酸テルビナフィン単独群(薬剤C)で、4日間連続足浴2週間後、KOH―光顕法による菌の陰性化で効果を判定した。爪白癬に対しては、薬剤Bと0.8%パルマローザ+0.1%ヒノキチオール併用群(薬剤D)について5日間連続足浴2週間後の菌の光顕による陰性化で効果を判定した。「成績」東芝病院外来患者18名について、足白癬の菌陰性化率は薬剤Bが75%(6/8), 薬剤A,Cが各50%(2/4)、爪白癬に関しては薬剤Bが60%(3/5), 薬剤Dが0%(0/5)であった。加藤らの方法に準拠したフットプレス法で菌の検出された患者は10名で、同定された菌は Trichophyton rubrumが5例, T. mentagrophytesが4例、両者の混合感染が 5例、その他同定不能株が 3例であった。フットプレス陽性患者は全員1回の足浴後菌は陰性化した。試験中重篤な副作用は認められなかった。「考察」薬剤A,B,C間に有意差はないが、足浴は足白癬に一定の効果が期待される。本研究は社団法人 日本アロマ環境協会2007年度研究助成事業による研究助成を受けている。会員外共同研究者、川口健夫、高橋美貴。