抄録
【目的】Hinokitiol はヒバ等から抽出される精油成分で、抗菌活性を示す事が報告されているが、抗真菌活性に付いての解明は充分とは言えず、C. albicans の付着性に及ぼす作用は明らかにされていない。本研究では、Hinokitiol の C. albicans 付着性に対する効果と作用メカニズムについて解析を行ったので報告する。【方法】C. albicans NIH-A207株と Hinokitiol をヒト口腔上皮細胞または歯の構成成分であるヒドロキシアパタイトとともに培養し、口腔上皮細胞およびヒドロキシアパタイトへの付着性について検討した。また、C. albicans の接着因子mRNA発現量はリアルタイムPCR法を用いて測定した。【結果・考察】C. albicans の口腔上皮細胞およびヒドロキシアパタイトへの付着性は、Hinokitiol 存在下で抑制されていた。Hinokitiol で処理した C. albicans では、 付着因子のmRNA 発現が低下しており、これが接着性低下の要因と推察された。 以上の結果から、ヒノキチオールは、口腔内カンジダ感染の予防に有効な成分となることが明らかになった。