抄録
【目的】Candida属菌の最外層を構成するN結合型糖鎖は共通のコア構造を有している。コア構造から伸びた末端糖鎖部分のマンナンの結合様式は種によって異なり、この違いが宿主応答に影響を及ぼすことが考えられる。C. albicansマンノース転移酵素の推定遺伝子を破壊して宿主の炎症惹起に関与するマンナン構造を同定する。【方法】C. albicansゲノム情報から46種類のマンノース転移酵素遺伝子を抽出し、C. albicans (Serotype A, ura-,arg-)を用いて未報告の遺伝子を対象に破壊を開始した。各破壊株の増殖速度および菌糸形成能などの性状を調べ、破壊株から精製したmannoprotein (MP)と抗カンジダ多糖因子血清との反応性を検討した。また、単球系培養細胞J774A.1あるいはマウス腹腔マクロファージをMPで刺激し、初期免疫応答の指標として炎症性サイトカインの産生誘導を検討した。【結果・考察】これまで11種類の遺伝子破壊株を作製し、その内1株は寒天培地中での菌糸形成能が親株に比べて顕著に低下した。MPと因子血清との反応性およびマクロファージによるIL-6とTNF-Α産生誘導についてはいずれの破壊株も親株との相違は認められなかった。従って、これらの遺伝子産物はCandida感染の初期応答にかかわっていないことが示唆された。(研究協力者:臺 由紀)