日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第52回 日本医真菌学会総会・学術集会
セッションID: SY-4-3
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外科・救急領域真菌感染におけるnon-albicansの関与とその治療
真菌感染におけるnon-albicans Candida属の臨床的病原性
*明見 能成
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抄録

近年、血液疾患領域のみならず外科・救急・集中治療領域においても、重症患者でカンジダ属(Candida species)を起炎菌とする深在性真菌症が問題となってきている。原因菌種はC.albicansが主たる起炎菌であるが、1990年ごろより抗真菌剤としてFluconazole(FLCZ)が使用されるようになってからC.albicansはむしろ減少傾向にあり、逆にnon-albicans Candida属が占める割合が増加してきている。non-albicans Candida属の原因菌種としては、C.glabrata、C.tropicalis, C.parapsilosis, C. krusei, C.guilliermondi, C.lucitaniae などが挙げられ、施設間での検出率の差異はあるもののC.glabrataが最も多く、次いでC.tropicalisまたはC.parapsilosisの順であり、いずれも抗真菌剤の選択に関連して治療上の大きな問題となっている。non-albicans Candida属の臨床的病原性には、宿主側のリスクファクターとして好中球減少症、重症熱傷、消化器外科手術などが、一方、菌種側のリスクファクターとしては抗真菌剤に対する感受性の程度が考えられる。一般に、これらの菌種は、カンジダ症に第一選択抗真菌剤とされているFLCZに対する感受性の観点から、FLCZ感受性菌であるC.tropicalis, C.parapsilosis, C.guilliermondi, C.lucitaniaeと、FLCZに低感受性または耐性を示す C.glabrata、C. krusei の2グループに大きく分けられる。今回、それぞれの菌種の病原性に関して、宿主側の要因と、FLCZだけでなく現在国内で使用可能な抗真菌剤の感受性の二つの観点から検討していく。

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© 2008 日本医真菌学会
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