日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第52回 日本医真菌学会総会・学術集会
セッションID: P-008(SII-01)
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内臓真菌症
非血液疾患における深在性トリコスポロン症の臨床検討―血液疾患発症症例と比較して-
*時松 一成園田 尚子門田 淳一杉田 隆
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抄録

【目的】非血液疾患に発症する深在性トリコスポロン(DT)症は、稀であるため、その臨床背景や予後はよく知られていない。本研究では非血液疾患に発症するDTの臨床背景や予後を明らかにするため、血液疾患に発症したDTと比較検討した。【方法】DTは血液からTrichosporon属が分離されたものとし、JATRISに報告された58例を対象とした。基礎疾患により、血液疾患群(n=50)、非血液疾患群(n=8)に分け、DTの臨床背景、治療法、予後について検討した。【結果】非血液疾患DTの基礎疾患は、潰瘍性大腸炎、劇症肝炎、肝不全、急性膵炎、心臓弁膜症、強皮症、慢性腎不全、蜂窩織炎と様々であった。DT発症時の患者背景は、血液疾患群、非血液疾患群それぞれ、IVH 90% 88%、免疫抑制剤40% 25%、副腎ステロイド剤72% 50%、末梢血好中球数500未満80% 0%、ブレイクスルー発症86% 25%であった。発症後30日以内の死亡率は、血液疾患群で70%、非血液疾患では38%であった。【考察】非血液疾患では血液疾患に比べ、副腎ステロイド剤の投与、好中球機能低下、ブレイクスルーによるDT発症が少なかった。また、死亡率については、一般に報告されているカンジダ血症と大差ないことが推測された。非血液疾患におけるDTは不明な点も多く、今後も症例を追加しながら検討する。【会員外研究協力者】高倉俊二(京都大・病院・感染制御部)、福田隆浩(国立がんセンター・中央病院)、高田徹(福岡大・内科)

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© 2008 日本医真菌学会
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