抄録
皮膚糸状菌Microsporum canis は,世界中に分布し,好獣性であるので人獣共通感染症を示し,家畜やペットからの感染が多くみられる. 生息地が限定されず世界的であることから種内の多様性が推測されるが,家畜やペットからの分離菌と飼い主からの分離菌では,遺伝的に同型であることが推定される.これらの推定を確かめるために,AFLP解析を行い,M. canis の疫学的研究を行った. 材料と方法:当真菌医学研究センター保存の菌株,北京大学分離株,貴陽医学院分離株を用いた.AFLP法には,全DNA抽出物を制限酵素EcoR I,Mse Iを用い切断し,それぞれの切断面に認識サイトを含むアダプターを結合した.認識サイトの付いたプライマーを用いてPCRで各断片DNAを増幅し,蛍光ラベルを付けてABI 3130を用いてフラグメントの解析を行った. 結果と考察:得られたフラグメントは,幾つかのパターンが観察され,多様性の結果であろうと考えられるが,保存株の採取地が未だ充分ではなく,採取地を拡げることにより,より多様になると考えられる.家畜やペットからの分離菌と飼い主からの分離菌は,お互いが感染源であろうと推測できるため切断パターンの絞り込みを行っている.このようにAFLP解析は病原真菌の疫学研究に有効な方法であると考えられる.(会員外共同研究者:北京大学 李 若瑜,貴陽医学院 王 和)