日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第52回 日本医真菌学会総会・学術集会
セッションID: P-056
会議情報

皮膚真菌症
Curvularia sp. (KMU4944)の角質および植物に対する感染性の検討および自然界からの同菌の分離の試み
*柳原 誠河崎 昌子石崎 宏望月 隆宇田川 俊一安澤 数史佐藤 幸生花川 博義刀川 信幸
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】先に趾間に生じた褐色皮疹より分離した Curvularia sp.(KMU4944)について報告した。しかし、同菌がなぜヒト皮膚表面に感染したのか不明のままであった。今回は同菌のヒト角質および植物に対する感染性について検討すると共に,自然界からの同菌の分離を試みた。【方法】実験1:ヒト角質(白髪、爪、胼胝)およびイネ科植物の葉を材料とし、滅菌消毒後、素寒天培地に上に環状に並べ、その中央にKMU4944を置床し培養した。生育の有無を光顕および電顕(SEM)的に検討した。実験2:イネ科の植物をパラコートで前処理し、3-5日後,枯れた葉を津田の方法を用いC. sp.の分離を試みた。【結果】実験1:KMU4944は白髪、爪および胼胝の角質および植物の葉の表面に白い長い分生子柄を放射状に伸ばし、その上に黒褐色の分生子をつけた。電顕的には毛髪クチクラ細胞間から分生子柄がのびその先端に分生子を形成していた。実験2:イネの“ひこばえ”からC. lunata (KMU2685=AF071339)が分離できた。この菌の分生子の表面は粗造で、角質での生育を認めた。【結論】KMU4944はin vitroで植物の葉のみならず、ヒト角質で成長することが明らかになった。C. sp.は皮膚表面に感染することはごく稀であるが、条件が揃えばヒト角質に感染する能力のある菌であることが明らかとなった。自然界からのKMU4944の分離はまだ成功していない。
著者関連情報
© 2008 日本医真菌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top