多文化関係学
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外国人妻の問題と日本の「多言語・多文化共生」への課題 : 家族社会学の視点を含めた国際結婚研究の整理から
伊藤 孝恵
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2006 年 3 巻 p. 129-139

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抄録
今日日本において増加、多様化している国際結婚の約7割が、「夫日本人、妻外国人」で、その外国人妻の多くは、フィリピン、韓国・朝鮮、中国といったアジア諸国出身者である。その増加、多様化の背景には、国際的な人口の流動化とともに、送り出し側、受け入れ側の社会的・経済的事情がある。
外国人妻は、国家間の経済格差上にある差別意識や、日本社会・文化への同化圧力の中で、言葉や価値観、習慣等の違いに戸惑うばかりでなく、家庭内や親子間でのコミュニケーション・ギャップやエスニック・アイデンティティの揺らぎ、日本において依然根強い性別役割分業にも直面している。このような外国人妻の抱える問題は、外国人妻個人や国際結婚家族のみならず、日本社会全体の問題でもあり取り組むべき課題でもある。
本稿は、近年の国際結婚動向の特徴及び今日国際結婚の外国人女性が抱える問題点について整理し、これに家族社会学の見地を加え、日本社会が様々な価値観や習慣等を受け入れ共存する「多言語・多文化共生」社会へ向けて示唆することを目指す。
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© 2006 多文化関係学会
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