抄録
0.19%C炭素鋼板より, 板厚5.5mmの平滑平板試験片, 中央に円孔をもつ板状試験片, および両側にU溝をもつ板状試験片を作り, 定たわみの塑性疲労試験を実施し, 試験中の応力の変化と同時に試験片に発生したき裂の伝ぱの模様について観察した.
切欠き試験片においては, 切欠き底に発生した各1本の疲労き裂が成長して最終的な切断に至る. しかし, 平滑試験片では多数の微細なき裂がほとんど同時に発生し別個に成長する. その中で両側端に発生した中の各1本のき裂が特に大きく成長して最終破断に至る. 各形状の試験片を通じてき裂長さが試験片有効幅の約25%に達するまでは, 試験片全体としての荷重負荷能力はほとんど低下しない. また, き裂長さXと公称ひずみ振幅εaおよび繰返し数Nの間にはX=K2εaμNλなる関係が見いだされ, ここでK2, μ, λは同一材料, 同一荷重条件では試験片形状による定数である. 一般にき裂伝ぱの初期においては切欠きの鋭い試験片ほどき裂成長速度は大きいが, その後の速度の増加する割合は切欠きの鋭いほど小さくなる傾向にある.