材料
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振動ミルにおける摩耗について
西竹 茂樹松田 一喜
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1967 年 16 巻 164 号 p. 331-336

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抄録

振動ミル保守上の重要な問題である摩耗について, 主として砕料の粒度 (比表面積) に着目して試験を行なった結果について述べた.
2lの軟鋼製ドラムに8mmφの軸受鋼製ボールを, 見掛け容積で80%装入し, 比表面積1000cm2/gの軟ケイ石を, 乾式および湿式で粉砕試験を行なった. この結果, 比表面積の増加分と摩耗量の関係が, 乾湿いずれの場合にも直線関係になることを確かめた. これは, さきに Rose と神保が行なった試験結果にも述べられていることで, 今回の試験結果は, その実用式によって計算した値とかなりよく一致する. また, 単位比表面積増加分あたりの摩耗量 (以下摩耗率という) は, 振幅および初期粒度にはほとんど関係ないことも確かめた. なお, ドラムの摩耗は媒体の摩耗に比べて1けたないし2けた程度少ないという結果を得た. したがって, 摩耗粉の混入を問題にする場合には, まず, 媒体の摩耗に着目すべきである.
ドラムについては寿命を決定する重要な要素として局部的摩耗がある. これはドラムの両端, 下面が著しい. 原因はボールがドラム端面に規正されて同じ個所で運動するためであると考えられる.
摩耗速度を求めるのに, 限界比表面積の考えを導入して, 指数関数的表示を行ない, 試験結果とかなりの一致をみた. このほかに砕料および構造材料の組合せを変えたものについても, ひととおりの試験を行なったが, これらの結果については試験回数が少ないため定性的説明のみにとどめた.

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