抄録
研究目的は,地域包括ケア病棟における看護職の役割と課題を明確にすることである.A県内にある3つの地域包括ケア病棟に所属する看護師5名を対象にインタビューを行った.インタビュー内容を逐語録とし,記述データとして質的内容分析を行った.結果,地域包括ケア病棟における看護職の役割と課題は11カテゴリにまとめられた.看護師は,所属する【病棟の特徴をつかむ】ことと【患者の特徴をつかむ】ことから,地域包括ケアシステムの理念を頭に【地域包括ケア病棟の看護師としての使命】を感じていた.様々な状況から【高齢者ケアのジレンマ】を感じながら,高齢者の【ADL維持に努める】ケアや【身体状態を整える】ケアを実施していた.退院支援を行うため,MSWら【多職種との協働】,病棟で主に協働する【医師への働きかけ】を行い,在宅復帰のために【家族への共感と退院への働きかけ】を行っていた.同時に,【スタッフ育成】の実施やその必要性,【今後の課題】を明確に持っていた.施設の特徴は異なるが,いずれの看護師も様々な疑問や課題を持ちながらも,それぞれが適切な方法を用いて高齢者の退院支援を実践していた.