日本臨床看護マネジメント学会誌
Online ISSN : 2435-2691
異なる作用機序の睡眠薬と高齢者の転倒率 および転倒時間帯との関連
エスゾピクロン・ラメルテオン・レンボレキサントの比較
米山 美智代
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2026 年 7 巻 p. 1-

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抄録
本研究の目的は,高齢者を対象に非ベンゾジアゼピン系睡眠薬,オレキシン受容体拮抗薬,メラトニン受容体作動薬の転倒率および転倒時間帯に及ぼす影響を明らかにすることである.2021年1月からの2年間に急性期総合病院で報告された転倒インシデント報告から,精神疾患を有さない65歳以上の患者を抽出した.対象は非ベンゾジアゼピン系睡眠薬エスゾピクロン(ルネスタ錠Ⓡ1mg),オレキシン受容体拮抗薬レンボレキサント(デエビゴ錠Ⓡ5mg),メラトニン受容体作動薬ラメルテオン(ロゼレム錠Ⓡ8mg)のいずれかを服用していた60人に,睡眠薬非投与の295人を加えた計355人とし,各群の基本属性,転倒率,転倒時間帯を比較した結果,転倒率は,ラメルテオン群11.4%,レンボレキサント群4.8%,エスゾピクロン群は3.5%であり,ラメルテオン群で有意に高かった(p=0.018,R=2.8).エスゾピクロン群は転倒率が最も低く,非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の安全性が確認された.転倒時間帯に関しては,非投与群と比較してエスゾピクロン群(p=0.017)とレンボレキサント群(p=0.001)に有意差が認められた.エスゾピクロン群では深夜の転倒が多く(R=2.1),午後の転倒が少なかった(R=-2.3)のに対し,レンボレキサント群では,深夜の転倒が少なく(R=-2.5),午後の転倒が多かった(R=3.0).これらの結果から,高齢者に睡眠薬を処方する際には,薬剤ごとの転倒リスクだけでなく,転倒の時間帯の特徴を考慮し,適切な転倒予防策を講じることが重要であることが示唆された.
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