2017 年 16 巻 p. 10-20
本研究の目的は, 若年者と高齢者を対象に, 温熱刺激を眼周辺に加えた際の自律神経系の反応や唾液コルチゾール濃度, 主観的評価について検討することである. 対照および温熱条件で, SDNN, rMSSDおよびLogL×Tは高齢者と若年者間で有意差が認められたが, 他の項目では違いが認められなかった. 温熱条件の経時的変化でrMSSDが回復時に上昇し, L/Tは貼用時に低下する傾向が高齢者に認められたが, 若年者には認められなかった. 高齢者における両条件の貼用前と貼用時の変化では, 快不快の感覚は温熱条件のほうがより快を感じていることが示された. 高齢者は腋窩温が若年者より低い傾向にあったが, 温熱刺激を行った際の温度感覚の値は若年者と同等もしくは若年者より高かった. 眼への温熱刺激は高齢者にとって, 若年者にくらべ, 反応が鈍い部分も認められたが, ストレッサーとしてではなく, リラクセーションとしての効果がもたらされるケアであることが示唆された.