2017 年 16 巻 p. 28-35
確実な血管確保のためには, 十分な血管怒張を得て穿刺部位を判断する必要がある. 血管怒張を促す技術は関連書籍に示され, 健常者を対象として検証が行われているが, 実施者により方法がさまざまであり, 看護技術として確立していない. 本研究は臨床現場において, 看護師42人による血管確保場面延べ143件をビデオ録画し, 駆血, ストローク, タッピングの所要時間と, 穿刺部位の温罨法の有無を分析した. その結果, 患者の年齢が高いほど駆血時間は長い傾向が示され, 駆血とタッピングの所要時間は血管確保部位の判断が難しい場合で長く, 温罨法は抗がん剤を投与する場合に実施していた. 以上より, 加齢に伴う血管形質や循環の変化により血管怒張を得るまでの時間が延長すること, 血管確保部位の判断が難しいと駆血とタッピングの所要時間が長いこと, 温罨法は抗がん剤の投与を受けた場合に実施されることが示唆された.