日本看護技術学会誌
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原著
油性徐放性製剤による硬結の予防方法に関する基礎研究
高橋 有里
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2019 年 18 巻 p. 42-49

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抄録

 これまでの研究で, 油性の徐放性製剤であるハロマンス®筋注部位の硬結の本態は, 基剤のゴマ油由来の油滴が組織内に大きく残り, 周辺組織の炎症反応が長期間持続したものであることが明らかとなっている. 本研究では, 硬結を予防するために筋肉内で油滴が細かくなる介入方法を明らかにすることを目的に動物実験を行った.
 研究Ⅰでは, ラットに筋注した後, 筋収縮運動をする群と微振動を与える群とマッサージをする群に分けて実験した結果, 筋収縮運動群で油滴の断面積が小さかった.
 研究Ⅱでは, 研究Ⅰで効果のあった筋収縮運動を60秒実施群, 30秒実施群, 15秒実施群に分けて行った結果, 60秒実施群で油滴の断面積が小さかった. なお, ハロペリドール血中濃度は対照群と有意差はなく, 60秒の運動が安全であることも示された.
 以上より, 油性の徐放性製剤に起因する硬結を予防する介入方法として, 注射された部位の筋肉が収縮する運動を60秒間実施することが効果的であると示唆された.

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© 2019 日本看護技術学会
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