2024 年 23 巻 p. 37-44
本研究の目的は, 採血時のマッサージの手技として回数と接触面の違いが血管怒張に及ぼす影響を明らかにすることである. 健常な18歳以上の46名を対象とし, 回数 (5回, 10回) と接触面の大きさ (接触面が大きい:第2指から第5指と手掌が対象者の前腕に接触, 接触面が小さい:第5指の尺骨側が対象者の前腕に接触) が異なるマッサージを駆血10秒後に10秒間実施した. 測定項目は血管断面積と目視による血管怒張度とした. その結果, マッサージ実施後の血管断面積は, 各マッサージ前後の比較では有意に増加がみられ, さらに接触面が大きい, 10回のマッサージにおいて血管断面積の有意な増加が認められた. 血管怒張度は, 回数と接触面の違いによる有意差は認められなかったが, 「1:少し確認できた」以上の変化が約8割にみられた. 以上より, 駆血に加えて接触面が大きい, 10回のマッサージは血管怒張の効果をもたらす可能性が示された.