日本看護技術学会誌
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研究報告
臨床で働く看護師の解剖学知識に対する認識と受講した解剖学教育との関連
藤井 徹也佐藤 美紀渡辺 皓島田 達生中山 和弘
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キーワード: 看護師, 継続教育, 看護教育
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2004 年 3 巻 2 号 p. 22-29

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抄録

 看護師養成における効果的な解剖学教育を考えるため, 総合病院に勤務する看護師を対象に, 臨床における援助場面での解剖学知識の必要性および臨床看護実践への知識の反映, 看護師養成機関で受けた教育内容などについて質問紙調査を実施した. 回答を得た680名中90%以上の者が, 解剖学知識の必要性を感じるケアとして吸引 ・ 穿刺 ・ 排泄の援助を回答した. 臨床において解剖学知識が重要であると感じている者は98.7%であり, 臨床場面で解剖学知識に関して困った経験がある者は66.2%であった. また, 臨床で解剖学知識に関して困った経験がある者は, 学生時代に解剖学に興味をもたず (p<0.001), 重要性を感じていなかった (p<0.01). 学生時代に解剖学へ興味をもたないものは, 解剖学実習をまったく経験していなかった (p<0.011). 継続教育として, 人体解剖セミナーへの参加を希望する者は, 臨床において解剖学知識に関して困っている者が多かった (p<0.04). これらのことから, 学生時代に解剖学に興味がもてるような教育内容や教授方法の検討が必要であり, 臨床で働く看護師が必要とする時に学習できる環境や機会をつくることが必要である.

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© 2004 日本看護技術学会
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