日本看護技術学会誌
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原著
オシロメトリック式自動血圧計と水銀血圧計を使用した血圧測定における較差に関する研究
山本 美紀岩元 純
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2008 年 7 巻 1 号 p. 59-67

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抄録

 本研究の目的は, オシロメトリック式自動血圧計 (以下自動血圧計) と水銀血圧計による血圧測定値の較差を精密に実測し, その特徴と発生のメカニズムを明らかにすることである. 健康な若年被験者 (n=50) の上腕にカフを巻き, このカフからのゴム管を分岐させて自動血圧計 (HEM─747IC, オムロン社) と水銀血圧計に接続した. 測定にあたっては, 自動血圧計による測定を行いつつ, 熟練した2人の看護師による水銀血圧計を用いた同側同時測定を行った. 結果として, 2種類の血圧計による血圧値は, 収縮期圧において一致するが, 拡張期圧ではさまざまな程度の較差が生じた. ただし, 較差全体の平均値を計算した場合, 収縮期および拡張期血圧較差は, それぞれ1.7 ± 4.2 mmHg (mean ± SD), 4.5 ± 5.2 mmHgとなり, 米国の医療機器のガイドラインを満たした. しかし, この較差は, 拡張期圧が低下すると次第に増大する傾向を示し, その他に, 脈圧 (増加), 脈拍 (増加) と有意な正の相関を示した. 以上の結果より, 自動血圧計は, 脈圧, 拡張期血圧, 心拍数などに影響されて拡張期血圧を高めに測定する傾向があり, 看護師の聴診による再測定などの介入が必要であることが示唆された.

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© 2008 日本看護技術学会
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