2023 年 28 巻 1 号 p. 60-
【要旨】56 歳男性、前医で若年性アルツハイマー型認知症と診断され、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬を開始したところ症状が悪化したため当院のもの忘れ外来を受診した。頭部 MRI で片側ではあるが辺縁系の信号上昇を認め、造影効果も伴っていた。髄液検査で異常はなかったが、血清と髄液中の抗 leucine-rich glioma-inactivated 1 protein(LGI1)抗体が陽性であることが判明し、抗 LGI1 抗体陽性辺縁系脳炎と診断した。免疫療法は奏功し社会生活へ復帰した。本症例では経過中に faciobrachial dystonic seizure は一度も認めず、頭部 MRI の軽微な所見から本疾患を疑って診断にいたることができた。治療可能な神経疾患を見落とさないという点から、画像検査を契機として本疾患を早期から鑑別にあげることが重要である。