NEUROSURGICAL EMERGENCY
Online ISSN : 2434-0561
Print ISSN : 1342-6214
救急医療における脳神経外科医の役割
石田 泰史枡井 勝也浅田 喜代一
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2018 年 23 巻 2 号 p. 77-82

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抄録

 へき地で「断らない救急」を実践することには多くの困難が存在する.典型的な医療過疎地でへき地の奈良県南和地区に2016年4月1日から南奈良総合医療センターが新規開院して南和地区唯一の2次救急病院として稼働した.開院に際してこれまで救急医療になじみの薄かったスタッフの教育をon the job training(OJT)として救急センターで行い,時間外の救急対応はinformation and communication technology(ICT)を利用して地域医療連携システムを介するタブレットを用いたコンサルト体制を構築しすべての診療科が協力し救急医療を行うように意思を統一した.開院から約2年を経てこれまでの当院の救急センターでの実績を振り返り,「断らない救急」が実践できたのか否かを分析した.また救急医療の現場での脳神経外科医の役割について緊急入院に至った症例の分析を行うと共に現場のスタッフに対してアンケート調査を行い検討を加えた.結果,コンサルト体制は救急応需のストレスの軽減に効果を発揮して救急車の受け入れ件数は倍増していた.またコンサルトは脳神経外科医に頻回にされて患者の診断や治療方針の迅速な決定に寄与していることが示唆された.へき地での「断らない救急」の実践にはICTを用いたコンサルト体制と脳神経外科医の存在が重要であると考えられた.

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© 2018 日本脳神経外科救急学会
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