NEUROSURGICAL EMERGENCY
Online ISSN : 2434-0561
Print ISSN : 1342-6214
頭蓋内圧測定が有効であった虐待による小児頭部外傷の一例
竹上 徹郎梅澤 邦彦木村 聡志黒崎 邦和荻田 庄吾安 炳文堀口 真仁香村 安健的場 裕恵高階 謙一郎
著者情報
キーワード: abuse, head trauma, ICP
ジャーナル オープンアクセス

2019 年 24 巻 1 号 p. 55-59

詳細
抄録

 【はじめに】 頭部外傷は小児の死亡原因で一番多く,一部は虐待によるもので重篤な後遺症を残す事がある.頭部外傷を来した被虐待小児に対し,頭蓋内圧Intra Cranial Pressure(以後ICP)モニタリングを行いながら治療を行った一例について報告する.【症 例】 5ヶ月女児,定期健診に受診されないため保健師が自宅に連絡したところ,母が児の様子おかしいと訴えたため救急受診を指示した.受診時顔色不良と右上下肢間代性痙攣を認め,CTにて両側硬膜下血腫を認めた.ミダゾラム・フェノバルビタールで鎮痙・鎮静を図り,児童相談所通告後に母児分離目的で他府県である当院へ転送となった.MRIで両側硬膜下血腫とびまん性軸索損傷を疑わせる所見を認め,大泉門膨隆が続くためICP管理目的でICPセンサーを留置し,マンニトール・ミダゾラムで治療を行った.ICPをみながら薬剤減量・中止を行いICP亢進せず安定したため8日目にセンサーを抜去した.3ヶ月後に哺乳できるようになったため施設退院となった.【考 察】 小児のICP亢進に対する忍容性は低く,特に虐待による頭部外傷は予後不良である.ICPセンサーを用いた積極的なICP管理は有用と考えられた.【結 語】ICP亢進が疑われた被虐待児に対しICP測定を行った.ICPモニタリングは薬物治療を行う上で有効な指標であった.

著者関連情報
© 2019 日本脳神経外科救急学会
前の記事 次の記事
feedback
Top