2019 年 24 巻 2 号 p. 150-156
2015年5月~2018年2月までに当院での単一術者による破裂脳動脈瘤コイル塞栓術のうち最大径が3 mm以下の微小破裂脳動脈瘤連続12症例を対象とした.平均年齢58.7歳,男性5例,女性7例.部位別では前交通動脈瘤が6例,前大脳動脈瘤が1例,内頚動脈瘤が2例,椎骨脳底動脈瘤が3例.発症時のHunt & Kosnik分類はGrade I:3例,Grade II:4例,Grade III:2例,Grade IV:2例,Grade V:1例で,塞栓術後の状態はCOが9例,NRが2例,DFが1例であった.術中破裂などの手技に関連する合併症は無かった.BA‒top Anの1例が1ヶ月半後に,IC‒PC Anの1例が16ヶ月後に再開通しコイル塞栓術を追加した.90日後の平均mRSは1.50(0‒6).Grade IVの1例が肺炎で,Grade Vの1例がinitial brain damageでmRS 6となった.平均観察期間19.3ヶ月で上記以外の再治療,また再出血なども認めていない.3 mm以下の微小破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術の適応はデバイスの進歩とともに拡大しつつある.近年,小径のコイルが使用可能となり,以前ならクリッピングの適応であった小型の動脈瘤に対しても血管内治療が可能になってきた.しかし依然として微小破裂脳動脈瘤は術中破裂率が高く,コイル塞栓術の施行にあたっては個々の症例で検討することが望ましい.