NEUROSURGICAL EMERGENCY
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脳卒中救急医療体制整備に対する脳神経外科医の役割
谷崎 義生赤路 和則朝倉 健甲賀 英明栗原 秀行松本 正弘美原 盤
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2020 年 25 巻 1 号 p. 7-15

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抄録

 群馬県では脳神経外科医が中心となり,人材養成コースの継続開催とt‒PA常時施行可能13病院を明確にするなど,脳卒中救急医療体制整備を進めてきた.LVO(脳前方循環主幹動脈閉塞)に対する血栓回収術の有効性が確立し,国内でも実施に向けた取り組みが開始されている.平成30年12月14日「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中,心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」(脳循法)が公布され,脳循法施行に向けて群馬県独自の施策策定の努力義務が課せられた.今回は,2015年から2018年の特定の1月間にt‒PA常時施行可能13病院に救急搬送され,脳卒中と診断された症例を対象にした事後検証で救急隊活動の質を評価し,血栓回収術に対応した病院前スクリーン導入に向けた取り組みについて報告する.2017年からは群馬県が作成した群馬県統合型医療情報システムを使用し,病院が確定病名を入力,各消防は活動記録票にある脳卒中判断と発症時間記載率の一次検証を実施し県消防保安課に報告,同課の集計した結果を県メディカルコントロール協議会検証医が二次検証した.2018年では脳卒中判断記載率81.6%,発症時間記載率75.8%で,脳卒中判断は感度82.5%,特異度97.2%,陽性的中率50.8%であった.群馬県救急隊の質はLVOを判断する病院前スクリーンを導入可能な質を確保しているので,国産のELVOスクリーンを採用し,救急隊の研修を開始している.今後は,脳循法施行に向け病院・救急隊・行政三位一体となり脳卒中救急医療体制の整備を加速する必要がある.

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© 2020 日本脳神経外科救急学会

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