日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
心房中隔欠損症に合併した大動脈弁乳頭状弾性線維腫の1例
上田 英昭久 容輔山本 裕之峠 幸志重久 喜哉川津 祥和山元 文晴井本 浩
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2013 年 42 巻 2 号 p. 148-150

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抄録
症例は68歳女性.2年前より心房中隔欠損症(以下ASD)を指摘されていた.労作時呼吸困難が出現し,前医を受診した.胸部X線写真で心拡大,両側肺野の浸潤影があり,ASDによる心不全と診断された.術前検査を行ったところ,心エコーで以前までは指摘されていなかった可動性のある大動脈弁腫瘍があり,乳頭状弾性線維腫と診断された.術中所見では大動脈弁の3尖すべてに腫瘍が存在し,最大のものは無冠尖にあり,9×7 mmであった.弁を温存して腫瘍のみを切除するのは不可能と判断し,大動脈弁置換術およびASDパッチ閉鎖術を行った.可動性のある乳頭状弾性線維腫は梗塞のリスクが高く,サイズにかかわらず早期の手術が必要と考えられる.腫瘍のみの切除が不可能に考えられる場合には弁置換術が適応になると考えられた.
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