NEUROSURGICAL EMERGENCY
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von Willebrand病に合併した急性硬膜下血腫に対して第VIII因子製剤を使用した1例
並川 裕貴藤井 裕太郎横溝 明史井戸 啓介松本 健一
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2022 年 27 巻 2 号 p. 184-188

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抄録

 先天性出血性疾患であるvon Willebrand病は,多くが軽症例とされるが,ときに重篤な頭蓋内出血を呈する症例もある.2021年に日本版ガイドラインが発行されたが,対応に苦慮するケースも想定される.我々が経験した症例は,von Willebrand病に罹患する82歳女性で,急性硬膜下血腫に伴う意識障害を呈していた.第VIII因子製剤の準備に時間を要していたところ,瞳孔不同が出現した為,やむなく開頭血腫除去術に踏み切る形となった.幸い術中の止血において問題は生じず,術後に意識障害は改善した.術翌日に血腫の再貯留を認めたが,降圧管理および第VIII因子製剤の投与を継続した結果,以降は増悪なく経過した.周術期におけるvon Willebrand病における出血リスクは決して低いものではなく,適切な対応について熟知しておく必要がある.

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© 2022 日本脳神経外科救急学会

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