NEUROSURGICAL EMERGENCY
Online ISSN : 2434-0561
Print ISSN : 1342-6214
テーラーメイド動脈瘤モデルを緊急くも膜下出血手術に応用する時間的問題についての検討
木幡 一磨吉田 啓佑赤路 和則
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 29 巻 1 号 p. 40-46

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抄録

 【背景及び目的】3Dプリンターを臨床応用する報告は,脳卒中領域では未破裂動脈瘤に関連するものが多いが,破裂症例に対する報告は少ない.今回,くも膜下出血の緊急手術前に3D動脈瘤モデル作成の可否を時間的観点から検討した.【方法】対象:2022年1月から12月までの当院でくも膜下出血と診断された破裂脳動脈瘤連続19症例.中腔モデルと内腔なしモデルを各1個同時作成することを想定し,データ処理時間20分を加えた各症例の動脈瘤モデルのプリント所要時間を算出.動脈瘤を同定した検査から手術室入室までの時間経過を調査し,後方視的に検討した.【結果】手術開始までの平均時間は421分,3Dモデル作成所要時間の平均は180分,全19症例中17例で3時間以内に作成可能だった.手術開始までにモデル作成可能だった症例は11例であった.一方,治療に間に合わないモデルの不足時間は90分未満が6例,90分超が2名であった.【結論】破裂脳動脈瘤の術前検討にテーラーメイド動脈瘤モデルは症例により作成可能と考える.症例を適切に選択すれば手術開始に間に合い,術中の安全性に寄与できる可能性がある.

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© 2024 日本脳神経外科救急学会

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