抄録
定型発達大学生を対象に、無意味綴り文の音読中の眼球運動の分析を行った。条件は、規則的に音読する「2文字ずつ条件」と「3文字ずつ条件」と不規則的に音読する「3-2文字反復条件」の三つであった。結果、拍節リズム(2モーラ音韻単位)に相当する「2文字ずつ条件」は他の条件に比べ、音読のエラー数、視線の逆行数が少なく、かつサッケードの距離が等間隔になる傾向が認められた。また、サッケードが等間隔になることは音読時間の短縮に影響していた。仮名文字列の音読の際、視覚的な情報の処理単位を最小かつ規則的に抽出することは、流暢な音読を促進すると考えられた。