神経治療学
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原著
持続陽圧呼吸療法中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群における 一次性頭痛の合併頻度とその治療効果
渡邉 悠児鈴木 圭輔宮本 雅之宮本 智之平田 幸一
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2017 年 33 巻 4 号 p. 560-565

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抄録

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea syndrome:OSAS)に慢性頭痛は高率に合併する.我々はOSASにおける一次性頭痛の合併頻度と持続陽圧呼吸(continuous positive airway pressure:CPAP)療法の効果について検討した.CPAP療法中のOSAS患者235例(男性190例,女性45例;平均54.8±11.6歳)を対象とした.一次性頭痛の診断は質問紙を参考に,面接法により国際頭痛分類第2版(International Classification of Headache Disorders, 2nd edition, ICHD–II)に基づいて行い,睡眠時無呼吸性頭痛の診断はICHD–3betaを用いた.OSAS 235例中105例(44.7%)に慢性頭痛があり,片頭痛18例(7.7%),緊張型頭痛55例(23.4%),群発頭痛1例(0.4%),その他の頭痛31例(13.2%)であった.頭痛のある群では,睡眠障害,日中の眠気,抑うつ症状が有意に多く認められた.慢性頭痛105例中39例(37.1%)に睡眠時無呼吸性頭痛を認めた.CPAP治療の効果があった片頭痛12例および緊張型頭痛33例のうち睡眠時無呼吸性頭痛の共存例はそれぞれ8例(66.7%),16例(48.5%)であった.頭痛のあるOSAS患者のうち睡眠時無呼吸性頭痛を除外した66例の中で,頭痛に対してCPAPの効果があった群(n=36)では,頭痛に対してCPAPの効果がなかった群(n=30)よりも一日のCPAP使用時間が有意に長かった.今回の検討ではOSASに慢性頭痛を高頻度に合併したが,睡眠時無呼吸性頭痛の診断基準を満たさない一次性頭痛においてもCPAP療法が有効な症例があることが明らかとなった.

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© 2017 日本神経治療学会
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