神経治療学
Online ISSN : 2189-7824
Print ISSN : 0916-8443
ISSN-L : 2189-7824
原著
発症11年経過後に実施したステロイドパルス療法が有効であった,成人発症型Rasmussen脳炎の1例
黒羽 泰子長谷川 直哉長谷川 有香谷 卓高橋 哲哉松原 奈絵高橋 幸利小池 亮子
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2018 年 34 巻 5 号 p. 543-546

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抄録

症例は48歳男性.37歳,全身けいれん,失語で発症し,左側大脳半球のT2高信号域を認め,carbamazepine, sodium valproateを開始した.42歳,右半身不全麻痺が出現し,48歳,二次性全般化発作が頻回となり,失語,歩行障害が進行した.頭部MRI上,左側大脳半球が高度に萎縮し,脳波で左側前頭極に焦点のある鋭波を認めた.血清,髄液で抗GluN2B抗体が陽性であった.一側性大脳半球萎縮,焦点性てんかん発作があり,知的退行,運動障害が進行性であるため,Rasmussen脳炎と診断し,ステロイドパルス療法を施行した.治療後,二次性全般化発作の頻度が減り,自立歩行も可能となった.Rasmussen脳炎は,主に小児期に発症する自己免疫性てんかんで,早期治療介入が予後を改善する.本症例は,長期経過後の導入にもかかわらずステロイドパルス療法が有効であった.成人発症の緩徐進行性難治性てんかんでは,同疾患の可能性も疑い,長期経過例でも免疫療法を検討する必要があると思われる.

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© 2018 日本神経治療学会
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