2018 年 35 巻 1 号 p. 38-42
方法:筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)患者18名を対象に,座位での努力性肺活量(forced vital capacity:FVC),肺活量(vital capacity:VC)を約1ヵ月ごとに測定し,ALS機能評価スケール改訂版(ALS functional rating scale–revised:ALSFRS–R)の球麻痺,身体,呼吸の各関連項目に対する%VC,%FVCとの関連性,およびALSFRS–R総スコアと%予備呼気量(expiratory reserve volume:ERV),%最大吸気量(inspiratory capacity:IC)との相関について統計学的に検討した.結果:ALSFRS–R各関連項目の中で%FVC,%VCと高い相関を示したのは身体関連項目と球麻痺関連項目であり,呼吸関連項目との相関は低かった.ALSFRS–R総スコアの低下は%VCの中でも特に吸気分画を示す%ICの低下と高い相関を示していた.結語:ALS患者において呼吸機能検査を評価することで身体機能の低下や球麻痺の進行程度を類推できる可能性があると考えられた.ALSの呼吸機能評価には吸気分画も含めた多面的な評価が重要である.