2018 年 35 巻 4 号 p. 571-575
抗筋特異的受容体型チロシンキナーゼ抗体陽性重症無力症(anti–muscle–specific receptor tyrosine kinase antibody–positive myasthenia gravis:抗MuSK–MG)は球麻痺のため誤嚥や窒息の危険性があるが,嚥下造影検査(video fluoroscopic examination of swallowing:VF)などの客観的評価の報告は1例にとどまる.症例は46歳男性,抗MuSK抗体陽性MGとして外来通院中であった.むせのない嚥下困難感,著明な開鼻声が出現したため入院となった.VFにて咳反射の消失した不顕性誤嚥が認められ,絶食の上,免疫グロブリン大量静注療法を施行した.VF所見の改善が不十分であったためステロイドパルス療法を追加したところ,症状および所見は著明に改善した.VFにより食事中止や再開,食形態だけでなく治療方針も決定することができ,本例は肺炎や窒息をおこすことなく回復した.MGを含む重度嚥下障害を来たす疾患の治療評価にはVFが有用である.