原著
多職種連携による認知症ケアサポートチームについての臨床的検討
2019 年 36 巻 1 号 p. 30-34
詳細
2019 年 36 巻 1 号 p. 30-34
身体疾患で入院した認知症患者に対する認知症ケアサポートチーム（以下ケアチーム）の役割について検討を行った．対象は，ケアチームが介入した65歳以上で，かつ認知症生活自立度III以上の130例（平均年齢86±6歳）とした．入院の原因は肺炎，骨折が多く，行動・心理症状（behavioral and psychological symptoms of dementia：BPSD）が67%の症例で認められた．ケアチームによる介入は入院後平均9.1日で開始され，介入期間は平均34.0日間であり，その内訳は看護ケア単独57%，看護ケア＋薬剤調整40%，前者＋家族指導3%であった．介入終了時，BPSDは改善64%，不変35%，悪化1%の割合であった．自宅から入院した症例のうち，退院後自宅へ戻ったのは46%で，54%は転院もしくは施設に入所した．BPSDを伴う認知症の入院患者に対しては，認知症の専門知識を持った多職種からなるケアチームのサポートが有用と思われる．
