2019 年 36 巻 1 号 p. 40-43
重症筋無力症クリーゼを発症後に嚥下障害が遷延した患者への嚥下リハビリテーションの有効性を報告する.感染を契機にクリーゼを発症した3例の高齢発症MGに対し,血液浄化療法や経静脈的大量ガンマグロブリン療法などの治療を併用したが,人工呼吸器管理が長期化し,気管切開が必要であった.人工呼吸器離脱後も嚥下障害は遷延し経腸栄養と並行して摂食と嚥下に関する機能訓練を施行した.摂食嚥下機能に即した段階的訓練と食事形態の選択により誤嚥性肺炎を発症することなく,全例で経口摂取が可能となった.クリーゼ後の症状寛解の維持にはtacrolimus単剤治療が有効であった.