2019 年 36 巻 2 号 p. 100-103
症例は34歳女性.25歳時に対麻痺にて発症し,胸髄6椎体に及ぶlongitudinally extensive transverse myelitis(LETM)を認めた.ステロイドパルス療法およびprednisolone(PSL)経口投与にて症状寛解し,無投薬にて症状再発を認めていなかった.初発より9年後に経口避妊薬を内服するようになり,その半年後に歩行障害,体幹の感覚障害を発症した.脊髄MRIではTh10を中心に髄内T2高信号及び腫脹,脊髄灰白質中心部病変を呈していた.血清抗AQP4抗体および抗MOG抗体はいずれも陰性であり,2015年のneuromyelitis optica spectrum disorders(NMOSD)診断基準は満たしていないが,LETMを過去に呈しており脊髄灰白質中心部に病変を呈していることからNMOSDに類した再発性脊髄炎と診断した.NMOSDにおける経口避妊薬の影響は現在不明であるが,背景となる免疫動態により疾患活動性の改善・増悪は各種自己免疫疾患毎に異なる.本症例のように経口避妊薬内服を契機として再発したisolated myelitisの症例は貴重であり報告する.