2021 年 38 巻 3 号 p. 391-394
症例1は46歳男性.39歳時に失調性歩行で発症し,41歳時に脊髄小脳失調症3型(spinocerebellar ataxia type 3:SCA 3)と診断された.歩行時に両下肢の痙縮と両大腿部痛が生じるためにbaclofen髄腔内投与療法(intrathecal baclofen therapy:ITB)を開始したところ,これらの改善を認め,歩行機能が向上した.症例2は36歳女性.20歳頃に失調性歩行で発症し,22歳時にSCA 3と診断された.四肢の重度痙縮に対してITBを開始し,痙縮の改善と介助量の軽減とを認めた.SCA 3に対するITBの既報は限定的である1)が,有害事象を認めることなく,痙縮の改善,さらには疼痛の改善や介助量の軽減を得ることができた.