2021 年 38 巻 4 号 p. 680-683
近年,地域在住高齢者の介護予防として,口腔構音機能の維持,改善を目指した口腔機能向上プログラムが行われ,高齢者のオーラルフレイルに対する効果が報告されている.しかし,口腔機能低下と認知機能の関連が示唆されているにも関わらず,口腔機能向上プログラムが認知機能や意欲に及ぼす影響は明らかではない.本研究では,高齢者における口腔機能向上プログラムの効果を検証するため,地域在住高齢者に口腔機能向上プログラムを実施し,口腔構音機能,認知機能,意欲に与える影響を検討した.その結果,プログラムの実施前後で,口腔構音機能に有意な変化を認めなかったが,認知機能のうち,実行機能で有意な変化が認められた.この要因として,高齢者の口腔機能向上プログラム参加による社会的交流の活発化や自主訓練実施の意識づけが,実行機能の改善につながったと考えられた.