2021 年 38 巻 4 号 p. 684-687
症例は74歳,男性.3年前stage IAの上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor:EGFR)遺伝子変異陽性の肺腺癌の手術歴があり再発なく経過した.2か月前から頭痛,羞明とADL低下を示し前医に入院後,急速な意識障害を認めた.当院に転院し,MRIと髄液細胞診により髄膜癌腫症と診断した.緊急腰椎ドレナージ術を行い,第三世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬osimertinibが奏効し,診断から20か月後も独歩での通院を維持できた.osimertinibはEGFR遺伝子変異陽性肺癌に伴う重症の髄膜癌腫症の一次治療として有効な可能性がある.また,原発巣の病期が早期でも髄膜癌腫症の発症に留意すべきである.