2022 年 39 巻 5 号 p. 803-807
目的:脊髄小脳変性症(Spinocerebellar degeneration:SCD)の小脳失調症状の改善目的にprotirelinやtaltirelinが使用されるが,症状の改善の程度をScale for the Assessment and Rating of Ataxia(SARA)およびInternational Cooperative Ataxia Rating Scale(ICARS)で半定量化した報告は少ない.protirelinの静脈内投与による小脳失調症状の改善効果についてSARA,ICARSを用いて検討した.
方法:当院で小脳失調症状に対してprotirelinを静脈内投与し,SARAおよびICARSを評価したSCD10例について投与前後におけるSARAおよびICARSのスコアの変化を評価し,Wilcoxonの符号順位検定を用いて解析した.
結果:10例においてSARAは治療前平均16.25から治療後平均12.90(p=0.0176),ICARSは治療前平均41.50から治療後平均32.75(p=0.0020)とスコアの改善を認めた.四肢失調,姿勢および歩行障害においては有意なスコアの改善が認められたが,言語障害,眼球運動障害には有意な改善を認められなかった.
結論:protirelinの静脈注射によるSCD患者の小脳失調症状の改善の程度をSARA,ICARSを用いて評価し,有意なスコアの改善が認められた.