2022 年 39 巻 5 号 p. 808-812
[目的]Parkinson病(Parkinson disease:PD)への脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation:DBS)において,術後の薬剤使用に決まった方法は確立されていない.治療1年後における薬剤使用状況とその予後の関連を検討し術後の薬剤治療の最適化を図ること.[方法]視床下核(Subthalamic nucleus:STN–)DBSを施行したPD症例23例を対象とした.1年後の使用薬剤と運動機能の変化について検討した.[結果]平均年齢および罹病期間がそれぞれ62.7歳,13.4年であり.平均L–DOPA,L‐DOPA equivalent daily doseが各々470mgおよび897mgであった.1年後のMAO–B阻害薬の有無(有9;selegiline 5,rasagiline 4),無(14)で検討したところ,1年後のMovement Disorder Society–Sponsored Revision of the Unified Parkinson's Disease Rating Scale part IIIスコアの改善率(77 vs. 35%, p=0.012)に有意差を認めた.[考察]PDのSTN–DBS後は,MAO–B阻害薬を併用した方がOff状態の改善が良い可能性がある.