神経治療学
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症例報告
Lewy小体型認知症の意識障害発作にamantadineが有効であったと思われる1例
野田 昌作
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2022 年 39 巻 5 号 p. 818-820

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抄録

Lewy小体型認知症(dementia with Lewy bodies:DLB)80歳男性例の発作性の意識障害(disturbance of consciousness:DOC)再発予防にamantadine(AD)を投与し,有効な結果を得たので報告する.患者は4年前から歩行困難で車椅子を使用していた.当院入院8ヶ月前に1回目の原因不明のDOC発作を起こした.その後2回目のDOC発作を起こし当院に入院した.入院後に数時間持続する急性のJapan Coma Scale(JCS)Ⅱ–30程度の原因不明のDOCを一日に2回起こしたが無治療で回復した.DLBに合併したDOC発作と診断し,DOCの予防に1日量50mgの経口ADを投与した.その結果,経過が追えた約4ヶ月間はDOC発作の再発は認めなかった.限られた期間の1例だけの観察であるが,ADがDLBのDOC発作に有効であった可能性が示唆される.DLBのDOC発作再発予防にADのドーパミン賦活作用とN–methyl–D–asparate(NMDA)受容体拮抗作用に加えて,ADのニコチン性アセチルコリン受容体機能抑制作用が有効性を示した機序を推測した.

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© 2022 日本神経治療学会
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