2023 年 2 巻 1 号 p. 255-262
高度経済成長期に建設された多くの橋梁が老朽化し,その維持管理費用が今後増加することが予想されている.こうした中で,すべての橋梁を健全な形で維持していくことには限界があるため,維持管理の優先度を判断することが求められている.そこで本研究では,道路ネットワークの接続性と構造物の劣化度を考慮した橋梁の維持管理の優先度を計測・評価する.道路ネットワークの接続性は,Betweenness-Accessibility指標を用いることで居住者のアクセス利便性を反映する.石川県輪島市をケーススタディとして分析を行った結果,道路の接続性が高く,構造物の健全性が低い橋梁が複数存在していることが明らかとなった.また,本手法を用いることによって,構造物の健全性が低い,かつ道路ネットワークの接続性が低い橋梁は廃橋の候補として抽出することが可能となった.