神経治療学
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臨床研究
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症に伴う末梢神経障害に対する急性期治療と1年後の神経学的・電気生理学的予後の検討
森島 亮清水 俊夫横川 直人高橋 一司
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2023 年 40 巻 1 号 p. 43-49

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抄録

目的:好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA)に伴う末梢神経障害の急性期治療による,筋力および電気生理学的パラメータの長期の変化について検討する.

方法:1999年4月から2019年3月までの期間にEGPAによる末梢神経障害を発症した24例に対し後方視的検討を行った.Prednisolone単剤にて治療した群と免疫抑制薬を併用した強化治療群とにおいて,初診時と治療1年後の筋力および電気生理学的指標の変化量を比較検討した.

結果:経時的には両群において脛骨神経複合筋活動電位と前脛骨筋・腓腹筋の筋力で有意な改善がみられたが,腓腹神経感覚神経活動電位(sensory nerve action potentials:SNAP)では振幅低下がみられた.両群間に有意な改善の差はみとめられなかった.

結論:EGPAの末梢神経障害における治療効果について報告した.腓腹神経SNAPは筋力の回復に反して経時的に低下がみられ,治療後も遺残する感覚症状を反映している可能性がある.

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© 2023 日本神経治療学会
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