神経治療学
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症例報告
妊娠13週にアクアポリン4抗体陽性視神経脊髄炎スペクトラム障害と診断されステロイドパルス療法と免疫吸着療法を実施した1例
去川 裕基高橋 麻葵河野 優
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2023 年 40 巻 2 号 p. 128-132

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抄録

症例は妊娠13週の39歳女性.複視と嘔気を自覚し当科入院.神経学的所見として左眼瞼下垂,眼球運動障害を認めた.頭部MRIでは脳梁膝部から左前頭葉白質,右側頭葉内側,左中脳橋被蓋から左上小脳脚に異常信号域を認め,AQP4抗体陽性であったことからアクアポリン4抗体陽性視神経脊髄炎スペクトラム障害(neuromyelitis optica spectrum disorders:NMOSD)と診断した.治療としてステロイドパルス療法(intravenous methylprednisolone:IVMP)を実施したが,症状の改善は不十分であった.そのため免疫吸着療法(immunoadsorption plasmapheresis:IAPP)を追加したところ,症状は顕著に改善した.再発予防にprednisolone 10mg/日の内服を継続した.すべての治療を通して,妊娠継続・出産に関する有害事象はなく,母胎ともに経過良好であった.妊娠期間中のNMOSD治療に関しては,エビデンスが蓄積されておらず,個々の症例で異なるのが現状である.本症例では,妊娠期間中におけるIVMP,IAPP,prednisoloneによる免疫治療が有効かつ安全であることが示唆された.

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© 2023 日本神経治療学会
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